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始めに

不整脈に関しましては複雑な事柄が多いので、このページではかみ砕いて簡潔な内容にてご説明させて頂きたいと考えております。
ご自身の脈に関して心配なことがあれば当院までお越し頂ければ幸いです。
 

脈について(正常と異常)

心臓は正常時には規則正しい間隔で1分間に60-80回程度で拍動しています。
1分間に50-100回の範囲を外れてしまったものの多くを不整脈と呼びます。
(運動時などに脈拍数が徐々に増加して100回を超えるのは正常な生体反応ですので心配ありません。)
不整脈は大きく分けて2種類に分類されます。

脈拍が速くなりすぎてしまう 『 頻脈性不整脈
脈拍が遅くなりすぎてしまう 『 徐脈性不整脈 』 

上記のどちらかでも状態が悪化していけば息切れや疲れやすさなどを自覚するようになり、
そのまま改善がなければ心不全(心臓が疲れ切ってしまった状態)になってしまう恐れがあります。

また、この2つに加えて多くの方が訴えられる時折、脈がとぶ・ドキッとするものの
原因として期外収縮』がありますが、これも不整脈の一つです。
これは字のごとく、正常のタイミング以外で横入りする脈が入ってくることを言います。
 

頻脈性不整脈

1分間の拍動数が100回以上になる不整脈です。
電気信号が異常に早く作られることや、異常な電気の通り道(副伝導路など)ができて電気信号が旋回してしまうことなどが原因で発生します。
頻脈性不整脈の症状には、主に動悸やめまいなどの脳貧血症状があります。

頻脈性不整脈のなかで最も頻度が多いのが心房細動です。

 

心房細動

心房細動は最もよく遭遇する不整脈の一つです。
心房細動は高齢化する社会のなかでその発症頻度は高くなっていきます。60歳以上では100人に1人は心房細動がいると言われています。
心房細動は4つある心臓の部屋のうちの
左心房と言うところがけいれんしているような状態です。
心房細動が起こると、心臓のポンプ機能が阻害され、
全身にうまく血液を送り出すことができなくなります。


心房細動の方の心電図では脈が乱れているのが大きな特徴です。
脈が乱れていると感じたら一度、心電図などの検査を受けることをお勧めいたします。

心房細動が起こると動悸・疲れ、めまい、胸の不快感などを感じることがあります。
しかし、約50%程度の患者さんは症状を自覚しないとも言われています。特に発作の時間の短いタイプの心房細動では
見つけにくいため注意が必要です。また、患者さんの中には、脳梗塞になって後に実は心房細動であったと診断される方もいらっしゃいます。
症状の有無にかかわらず、
心房細動を放置すると『脳梗塞』『心不全』などを引き起こす可能性が高くなります。

心房細動の方はそうでない方に比べ、脳梗塞になるリスクが5倍と言われています。
著名人の中にも、元総理大臣や有名な元スポーツ選手・監督など実は多くの方が
心房細動から脳梗塞を発症しています。

①心房細動が生じると、心房内の血液がうまく流れないため血液がよどみ、
血の塊(血栓)ができやすくなります。
②この血栓が何らかの拍子に血液に乗って心房から他の臓器へ運ばれれば、
血管を塞ぐことで脳梗塞を引き起こします。

 

 

検査としては健康診断などで行う12誘導心電図やその検査では検出されにくい発作性の心房細動が疑われる場合にはホルター心電図と言う携帯式の24時間連続で記録できる検査機器を用います。

治療方法は、患者さんの持つ他の疾患や年齢、体格なども考慮して、患者さんのご意向を踏まえて決定します。心房細動の治療には大きく分けて2つ重要な要素があります。
 

①脳梗塞の予防(抗凝固薬)

脳梗塞の原因となる血栓ができるのを防ぐため、患者さんの病態や脳梗塞リスクに合わせて抗凝固療法を行います。
従来の抗凝固薬には食事に制限がありましたが、近年登場した抗凝固薬には食事制限が不要なものもあります。


②心房細動の治療(薬物療法・カテーテルアブレーション)

心房細動の治療には、心房細動を受け入れてうまく付き合っていく方法(レートコントロール)と、心房細動そのものを取り除く方法(リズムコントロール)があり、それぞれに薬物療法と非薬物療法があります。
レートコントロールでは、主に薬物療法がおこなわれます。心房細動が生じたままのため抗凝固薬の継続が必須ですが、心房から心室に伝わる電気信号を減らして心拍数を正常に近づけます。
リズムコントロールでは、これまで主に心房細動の発作を抑制する抗不整脈薬による薬物療法がおこなわれていました。しかし、完全な抑制が困難なことが多く、抗凝固薬の併用が必要になることや、抗不整脈薬により徐脈や他の不整脈を引き起こす副作用も多いことから、近年では心房細動の根治を目指す治療として、カテーテルアブレーションが選択されることもあります。カテーテルアブレーションでは、カテーテルという細い管を足の付け根から血管(静脈)を通じて心臓に入れ、心房細動の原因を発する部位(肺静脈の入口付近)を冷凍あるいは焼灼します