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睡眠時無呼吸

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea SyndromeSAS)とは睡眠中に呼吸が止まる、または浅く・弱くなり、それによってさまざまな日常生活に障害を引き起こす疾患です。最近ではSASが循環器疾患との深い関わりがあることが明らかになってきています。SASの病態で最も多いのが上気道(空気の通り道)が塞がるまたは部分的に狭くなる事で起こる閉塞性睡眠時無呼吸症候群です。夜間に繰り返し起こる無呼吸により、血液中の酸素が低下したり、頻繁に中途覚醒が発生し身体に悪影響をおよぼすとともに睡眠を妨げ日中の眠気を増加させます。

SASの人は睡眠時間をそれなりにとっていても無呼吸のため、頻回な覚醒反応が起こり良質な睡眠が取れないため日中の過度の眠気、集中力の低下や作業能力の低下が生じ運転中や労働作業中の事故の増加を招きます。労働作業中に過度の眠気や不注意により、交通事故や大怪我をしたりする危険性もあります。車社会の群馬では深刻な問題です。

睡眠時無呼吸症候群の合併症

この症候群は単に呼吸が止まる、日中の眠気と言った病気ではありません。実は、SASがあるだけで高血圧症、脳卒中、狭心症、心筋梗塞、不整脈など循環器病を合併する危険が高まることがわかっています。無呼吸回数が多くなるにつれて、つまり重症になればなるほどそのリスクは高くなります。 

一方でSASの治療をきちんと受けると、長生きできる可能性があることもわかっています。

 

いびきは無呼吸の前兆です。そのため、いびきはSASの患者さんの多くに認められます。しかしSASはいびき以外には自覚症状が出にくい病気です。昼間の眠気を自覚される方もいますが、それは半数程度で、なかなか自分だけではわかりにくい病気なのです。

周りの人から寝ている時のいびきや無呼吸を指摘されている方は、ぜひ専門医療機関を受診してください。そして、周りでいびきがひどい方や寝ている間に呼吸がしばしば止まる方がいたら、ぜひ受診を勧めてあげてください。

 

検査方法

SASが疑われた場合、まず「簡易型睡眠モニター」と呼ばれる装置で疑わしい人をふるいにかける検査を行います。この装置で測定するのは、主に呼吸の気流、血液中の酸素濃度(動脈血酸素飽和度: SpO2)です。当院では主にPhilips社のウォッチパッドユニファイドと言う器械を使用して検査を行っていただきます。(呼吸状態を指先のサンサーにて感知するため、気流をチェックする鼻へのチューブがなく、快適に検査が行えます。)この装置はご自宅へ検査会社から郵送されますので、患者様のご都合の良い時にご自宅で検査が行えます。

この検査の結果次第で必要に応じて、精密検査に進むことになります。精密検査は「ポリソムノグラフィー」(PSG)、もしくは「終夜睡眠ポリグラフ」と呼ばれ、1泊2日の検査入院が必要です。

この精密検査では、簡易型睡眠モニターの検査項目に加えて、脳波、各種筋電図などのセンサーも取り付けられ、無呼吸だけでなく、睡眠状態を詳細に解析できます。無呼吸・低呼吸指数40以上の場合は簡易型睡眠モニターのみで診断が確定しますが、睡眠時無呼吸症候群の確定診断は、この精密検査が必要となっています。

 

治療方法

SASが診断された場合には、減量(肥満のある場合)、持続陽圧呼吸療法(continuous positive airway pressure:CPAP療法)、口腔内装置(oral appliance:OA)、手術(気道閉塞の原因がアデノイドや扁桃腺肥大であった場合)などで治療します。また、生活習慣の改善(横向きに寝る、禁酒、睡眠薬の禁止、鼻疾患の治療)でよくなることもあります。

通常、まず飲酒制限や、睡眠薬使用の制限を指導し、肥満者には減量を示します。これらによって重症度をある程度下げることが可能で、軽症の患者さんでは無呼吸がほぼ正常域まで改善する場合があります。

しかし、こうした生活習慣の改善だけでは十分な改善が得られない場合は、口腔内装置や持続陽圧呼吸療法(CPAP療法)が必要となります。

口腔内装置はマウスピース療法とも呼ばれ、下あごが少し前方に出るようなマウスピースを作製し、これを夜間装着して寝てもらう治療法です。下あごが前方に移動する分、気道が広くなるので、軽症~中等症の「閉塞性」なら改善が期待できます。マウスピースが必要と判断された場合には歯科医師へ依頼し、マウスピースを作成してもらいます(保険適応となります)。

CPAP療法(シーパップと呼んでいます)は、簡単に言えば、気道に空気の圧力(陽圧)を持続的にかけることによって、舌の根元が沈み込んで気道を閉塞するのを予防する治療です。このため、夜間は専用のマスクをして寝てもらいます。設定された一定の圧力の空気がマスクを通して送られてくるのです。それほど強い圧力ではないので、慣れてしまえばふつうに眠ることができます。また、マスクに関しましても口と鼻覆うものや鼻の穴にあてるだけのものなどタイプも選べます。 
下の写真は特に新しいCPAPとなっており、ホースの位置などが配慮されており夜間の生活の質を保つことができます。また、お持ちのスマートフォンやタブレットでCPAPに使用状況、効果がご自宅にいながら確認することが可能となってきています。

わが国の保険診療では、無呼吸・低呼吸指数が20以上の「閉塞性」の場合、この療法の対象となっています。CPAP療法は、無呼吸を減らすだけでなく、降圧(高血圧の改善)、不整脈の減少(不整脈とSASの関連は当院ドクターの専攻分野となっています)、交感神経の働きの抑制、インスリンが効きにくい状態を改善(糖尿病の改善)などの効果があり、心筋梗塞・狭心症や脳卒中など循環器病の発症を抑え、この症候群の経過をよくすることがわかっています。

 

 

 

最後に

最後までお付き合いいただきまして誠にありがとうございました。

ご自身、またはご家族の方でSASが心配な方、いびきを指摘された方、メタボな方、まずはお気軽にご相談ください。検査も自宅で簡単に行えます。SASを改善することで日常生活の質も改善されます。

検査・治療をしてよかったと言っていただけるよう、努力させて頂きたいと思います。